2018年の香辛料!

こんにちは、ホスピタソンライターの櫻子です。今日は、2018年度注目の香辛料についてお話ししましょう。

その香辛料は、ずばり『花椒』です。

ただ、もちろん2018年になって年頭から直ぐにはやり出したという訳ではありません。

2017年やもっと前からじわじわ注目も浴びていたのですが、今年も引き続き『花椒』頑張る気配も多く有り、ぜひ皆様のお店でもなにがし取り入れて頂きたいと記事にしました。

(目次)
1、花椒とは?
2、日本の山椒との違いは?
3、花椒ブーム 今昔
4、怪味ソース
5、鶏の四川風煮込み
6、花椒油

1、花椒とは?

花椒とは、主に中国原産の香辛料で、読み方は「ホワジャオ」別名中国山椒とか四川山椒とか華北山椒とも言われます。

日本料理のウナギなどにかかっている「山椒」とは、同じくミカン科サンショウ属の同属異種の植物です。

主に、真っ赤になる身の皮を、四川料理などピリピリ系の辛いお料理には使うのですが、他には漢方として、消炎効果・胃腸のバランス調整・ホルモンのバランス調整に重用されていたり、「シチュアンペッパー」の名前でフレグランスとしても有名で、そのエキゾチックな香りは広く海外の有名ブランドの香水にも使われています。

現在日本で売っている花椒は、粒状のもの粉状のもの、業務用の袋入りなどが有りますが、粒状のものを購入されるときは、ギャバンさんなどの瓶でミル付きのものが便利だと思います。

粒状の黒胡椒のミル付きのものと同じ仕組みのものです。もちろん営業で沢山お使いの場合は、袋入り・粉など使い分けて下さい。

2、日本の山椒との違いは?

では、同属異種の日本の山椒との違いは何なのでしょうか?

使われ方は、決まっているわけではありませんが、麻婆豆腐や担々麺に代表される四川料理などの辛い中国料理に使われるのが、『花椒』ウナギ料理や佃煮のちりめん山椒などの日本料理に使われるのが『山椒』という分け方ができます。

日本の山椒に味は似ているけれど、口の中や唇に来る「ピリピリ感」や「爽快感」は、『花椒』の方が劇的に強いと言えばお分かり頂けると思います。

又、日本の山椒は、葉・実・花・果皮等様々な部位を用途によって使い分けますが、『花椒』は主に乾燥させた果皮をすって使います。一般には、粉状の物が販売されているので、使いやすい香辛料ですね。

3、花椒ブーム 今昔

お料理関係の方が、『花椒』と言えば直ぐに頭に浮かぶのが、麻婆豆腐でしょう。そして麻婆豆腐から連想するのは、料理の鉄人で「中華の鉄人」を長く務めておられたあの人なつっこいキャラクターの陳建一さんのお父様、陳建民さんが日本人の味覚に合いやすいアレンジをして多くのお弟子さんと共に日本全国に広められた流れがあります。

日本料理であそこまで辛い味覚の物と言えば、まずあまり無いので、初めて口にしたときは大変驚いたのを覚えています。

もちろん、もっとまろやかな麻婆豆腐は街の中華料理屋さんでは普通にラインナップにあったのですが、花椒一杯の本格的陳麻婆豆腐を食したときは衝撃でした。

名古屋駅前のホテルの中華レストランですが、そこも陳県民さんのお弟子さん管轄のお店でした。

その後陳建民さんのお弟子さん方は、有名な中華レストラン『四川』を初め、全国に散らばり本格的な麻婆豆腐をはじめ、パンチのある辛味と爽やかなピリピリ感のある『花椒』香る四川料理を日本に広めて下さったのは有名なお話です。

櫻子は陳麻婆豆腐も好きでしたが、花椒か香るその店のザーサイが大好きだったのを良く覚えています。

そして、最初のブームから一時期日本の中華料理としてすっかりなじんでいる四川料理もすっかり安定し、最近又【辛い物ブーム】にのって、再び『花椒』が俄然注目されているような気配です。

櫻子の住む街にあるホテルの中華レストランの四川さんでも、数年前には今まである麻婆豆腐とは別に、わざわざ『花椒』たっぷりの陳さんの麻婆豆腐が復活致しました。櫻子が『花椒』大好き人間と知らないちょっと年配のウェイトレスさんは、唐辛子があまり多い四川料理がちょっと苦手な櫻子に、

「大丈夫ですか?本当に辛いですよ!食べられますか?」

と、心配して2度も尋ねて下さいました。

おまけに『花椒』多めにとオーダーしたものだから、ウェイトレスさん目をあんぐり。

あまりにも心配なさるので、追加になる『花椒』を別盛りにして頂いたほどです。もちろん別盛り分も完食させて頂きましたが。

舌や喉にピリピリくる唐味の唐辛子はあまりに多いとむせてしまって苦手なのですが、鼻にすっと通る爽快感のある『花椒』は、ピリピリもしますが、元々山椒味が好きな人種にはたまらない美味しさですね。

しかしながら慣れていない方には多すぎれば唐辛子や豆板醤と同じく、ひたすら辛いだけの代物なのかも知れません。

そしてこの頃では、ちょっとした居酒屋さんや中華料理とは関係の無いラインナップを出している飲食店さんでも、『花椒』を使ったお料理をだす飲食店さんが多くなって来ました。

鉄板のメニューなんだけれども、ともすれば飽きてきてしまう「鶏の唐揚げ」などは、『花椒』と粗塩を混ぜた『花椒塩』を添えるだけで、高級中華唐揚げ感がぐっと増します。

『花椒塩』も混ぜて作っても良いですが、大きなスーパーなどでは花椒と粗塩が混ざった状態の『花椒塩』が商品として売っていますね。

もちろん、ご自分でお作りになるのなら、『花椒粉』としても商品化しています。後は粗塩があればOK。

ご自分なりの配分を考えて混ぜ合わせるだけです。『花椒』かつては、ミルで引いていたことを思うと、随分と使いやすい調味料になったものですね。

又、普通のあんかけ焼きそばみたいな商品にも、胡椒の代わりに『花椒』を多くすると、飲んだ後の〆や、ちょっといつもと違った「焼きそば」を食べたいお客様には大変魅力的な商品となります。

4、怪味ソース

中華の四川料理のソースの中に、怪味ソースというものがあります。中国語ではガイウェイソースと呼ばれるものです。 意味は「複雑な味」という意味があるそうです。

中華料理の美味しさを表現するときに、よく用いられるのが”五味の調和”という言葉。

これは、

「甜(あまい)」

「咸(しおからい)」

「酸(すっぱい)」

「苦(にがい)」

「辣(からい)」

以上の5つの代表的な味のこと。

ところが四川料理の場合、この五味に「麻(しびれる辛さ)」「香(香り)」「鮮(うまみ)」を加えて”四川の八味”と表現することがあります。

※出典;http://www.youki.co.jp/special/guaiwei/ユウキ食品株式会社

この怪味ソース、もちろん上記のユウキ食品(株)さんを初め、有名どころではキューピーさん・新宿中村屋さん・・日本ハムさん等が瓶詰めやレトルト状態で商品化、ポウルスタアというメーカーでは、怪醤(カイジャン)と名付けられている商品もあります。

又、ソースだけの形状ではなく、ファミリーマートさんではおにぎりに入る鶏の唐揚げが怪味ソースになり、おやつカンパニーさんでは、唐揚げ怪味ソース味のスナックになっています。

この怪味ソース、2013年の塩麹ブーム、2014年塩レモンブーム、そして2015年は怪味ソースブームと期待された調味料。

確かに塩麹ほどブームになったかというとどうなのかしら?という感じですが、怪味ソースに入っている『花椒』は、地道に人気を繋いでいる感じがありますね。

又、怪味ソースに関しては、5~7種類と入れてブレンドする調味料も自由なら、配分も自由。かつて「XO醤」や「食べるラー油」の自家製が流行ったように、あなた自身の独自ブレンドOKの調味料なので、楽しんでみる事をおすすめします。

5、鶏の四川風煮込み

ではここで、『花椒』を使った最近大人気のお料理を紹介したいと思います。

このお料理は、櫻子が最近立ち上げに関わった、京都市内のクラフトビール&ブリューバー(Kyoto Beer Lab)で、美味しいとよくお褒めを頂いているお料理です。

『花椒』はもちろんのこと、どちらかというと、怪味ソース味にも近いかも知れません。

ごまペーストに豆板醤、花椒など、調味料を見ているだけで、美味しいラインナップが伝わってきます。

この四川風の煮込み料理を考案してくれたのは、料理研究家の森本眞史(まさし)君。

櫻子の大親友且つ、飲食店立ち上げ時の我がチームの料理部門を担ってくれています。

彼の本業は、行列のできる整体師さんなのですが、『整体』だけで身体を治すのではなく、シンギングボウルなどの『波動(音)』、そして何より医食同源の『食』、その3つ【整体・音・食】で心身の調節を行い癒やしを与え回復させていく達人です。

食に関しては、彼とそのパートナーさんは、普段の生活はビーガン(牛乳や卵も摂らない菜食主義者)ですが、料理の仕事の時は、ビーガン・ベジタリアン料理、茶懐石、薬膳、世界各国料理、イベント料理、そして日常の普通の料理に至るまで何でもこなす食のエキスパートです。

クラフトビールブリューバーのクライアント様から、店で煮込み料理を出したいご要望を受け、昨年秋に開発した新レシピです。

もちろん、『花椒』を初め、豆板醤、ごまペーストなど、調味料だけでももう美味しいというのが分かるようなラインナップで、とろとろに柔らかい鶏の手羽元と深みのある味わいに虜になる方続出です。

■ 鶏の四川風煮込みレシピ
・玉ねぎ  2個
・しめじ  1パック
・マッシュルーム  10個
・ねぎ  3本
・鶏 手羽元 1kg
・ごま油 50cc
・酒  100cc
・豆板醤 100g
・中華だしペースト  20g
・ゴマペースト  80g
・花椒  大さじ3
・八角  3個

①玉ねぎ  半分に切って7mmくらいの櫛切りにする
しめじ  石つきを切り、ばらばらにする
マッシュルーム  5mmくらいのスライスにする
白ねぎ  3cmぶつ切りにする

②フライパンにごま油を入れ熱し、鶏手羽元、白ねぎを入れ、手羽元に焼き目がつくまで焼き、鍋に入れる。出た油はそのまま次に使う

③①で下処理をした野菜を鶏を取り出したフライパンに入れ、炒める

④鍋に○印のついたの調味料、香辛料を入れ、煮る

⑤鶏肉が柔らかくなるまで、約1時間弱火で煮込む

鶏肉に関しては、業務用の手羽元でも、普通の市販のものでも構いません。大体1キロで手羽元が16~18本くらい有りますので、営業で2本ずつ出すとしたら、8~9人前位出来上がる計算です。

この鶏肉の四川風、昨秋に試食会で出しだした時から、辛いもの好きな人からもちょっと苦手な方も、「辛い!でも美味しい!」と好評を頂きました。

今は最初よりちょっとだけ辛味を抑えていますが、辛い中にも『花椒』の香りも高く、ビールがぐいぐい進みます。

又、ひょんな事から、あまり辛いものが得意でない櫻子が、たまたま白飯に掛けて辛味を中和して食べたら、これが又絶品に美味しい! 名付けるなら四川風鶏肉カレーのような風味で、今ではブリューバーのスタッフによって、「+白飯で、丼に出来ます!」という売り方をしています。

その後、仕込みの時にたまたま白飯がなく、ペンネがあったのでオリーブオイルでニンニクを新たに香りづけ、ゆでたペンネを混ぜこの四川風ソースを絡めたら、これも又美味しい! 四川風ペンネになり、まかない大繁盛でした。

いずれは、プラスティック容器に入れて、煮込みとライスとお漬け物でランチボックスで販売もするかも知れません。

いずれにせよ、この辛味のあるものは、毎日ではなくても突然爆発的に食べたくなるものの1つなので、作られてお気に召したら是非とも活用してくだされば嬉しいです。

6、花椒油

では最後に、1つあると飲食店さんでもご家庭でもすごく重宝するものをご紹介したいと思います。

それは、花椒をサラダ油に漬け込んだ花椒油(ホワジャオオイル)です。

例えばイタリア料理やスペイン料理を食べるときに、オリーブオイルにニンニクを漬け込んだり、赤唐辛子をつけ込んだりしますが、それの花椒版と思って貰えばいいですね。

和食のようにそう劇的な辛味やピリピリ感のないお料理の分野ならともかく、ニンニクや唐辛子、豆板醤、花椒等の入ったお料理は、そのままでも美味しく頂けますが、人によればもっと辛味を味わいたい、もっとピリピリしたい、ニンニクでパワーを付けたいなどお好みが様々です。

そんな時、このニンニクオイル、チリオイル、ホワジャオオイルなどがあれば、お客様はお好みに応じて、よりご自分の食べたいお味で召し上がることが出来ます。

花椒油(ホワジャオオイル)もそんなお好みを調節いただき、より香り高くお料理を召し上がって頂くための名脇役です。

作り方はいたって簡単です。自家製のこういうオイルを持つことで、ちょっと他店に差をつける、小さなアクションです。

大体普通のピリピリ感でいいなら、花椒と油(サラダ油)の割合は1:10で構いません。

もっと爽快でピリピリ感を求める方は、1:5~8位の割合で。もちろん、かすかな花椒の風味で良いという方は、1:20位でも問題なしです。

油は空気に触れるとどうしても酸化が始まりますので、まずは、花椒5gに対してサラダ油50cc位で作ってみて、お好みに応じて、もっと花椒を効かすとか薄くするとかをお決めになったらよいと思います。

それに、50ccくらいの花椒油なら、小さな卓上瓶に入れて使い回しも便利ですね。

■花椒油レシピ
①花椒は黒いゴミが混じっているものを取り除く
②フライパンか鍋に花椒gとサラダ油50ccを入れ、弱火にかける。
③焦げるのを防止するため、必ず弱火で約10分加熱する。
④あら熱が取れたら、ザルなどで漉し、保存瓶に入れる。

以上の簡単なレシピなのですが、より香り高い花椒油を望まれる方は、最初の花椒と同じ量のお湯を花椒と同じ容器に入れ、ラップでフタをして約20分。

この1つの作業があるだけで段違いに香り高い花椒油が出来上がります。

ただ、この作り方をする方は、お湯で花椒をふやかした後、熱い油を注ぐときに、花椒のふやかした水分を十分にキッチンペーパーなどで拭き取っておくことです。

熱い油を注ぐときに水分があれば、油がはねて危険ですし、花椒油自体の劣化も早まります。水分は十分に取ることがコツです。

あとは、麻婆豆腐やその他の花椒のはいっている四川系のお料理や、中華料理でなくても、サラダや冷や奴、炒め物、和え物、各種ソースやたれなど何にでもお使い頂けます。

お客様にゆだねて卓上に置くも良し、調理の段階で入れ込むも良しですが、あくまでも好き嫌いや、強い弱いがあるので入れすぎには注意が必要です。

いかがでしたか? 今回のスパイス『花椒』の記事は。日本人が元からある【さ(砂糖)し(塩)す(酢)せ(醤油)そ(味噌)】を基本にほとんどのお料理を作っていた時代とはほど遠く、今では世界中どこのお料理でもほとんど日本に居ながらに食べられる時代になりました。

ただ、一昔前までは、料理本などで色んな世界のお料理を見ても、特殊な調味料などがないとなると、作ることは難しい時代もありました。

しかし今では、普通のスーパーにもそこそこの品揃え、輸入食品のお店などに行くと大概のものが揃います。

要は、あなたが経営したり飲食物を作っている店舗でも、色々なものがお客様に提供できるということなのです。

そして、日本人の味覚自体も随分と変わって来ました。大昔のあまり辛いものを食する文化のない日本人などでしたら、この記事の『花椒』などをいきなり食べたら、それこそ「毒を一服もられた!」とびっくりしたかも知れません。

今は違います。豊かな情報と確かな流通で、日本に居ながらにして様々な物が手に入ります。

基本的な各飲食店様の料理は変わらないにしても、たまにはこういう調味料などで変化球を投げてみるのもお客様サービスの一環になるのではないでしょうか?

お客様は、美味しいと思うものはずっと求め続けますが、少しでも飽きてくると新しいもの・珍しいものへとお気持ちが移っていく傾向があります。それをどう食い止めるか?行列の出来る鉄板のメニューをお持ちの優良店なら悩まなくてもいい課題かも知れませんが、それとて時代が変わっていけば、いつまでも・・・と言うわけには行かないかも知れません。

昔の中国の皇帝やその后などは、料理人が満漢全席と言う宮廷料理を作り、全盛期の頃は皇帝や后が一生同じ物を口にしなくても良いように=飽きないようにと、それだけの数の調理法を持っていたと言います。

今ではそんな食生活をしている方はいませんが、食いしん坊の方は、1度は食べてみたいと思ったことがあるかも知れません。

広大な中国では、ご存じの通り多数の民族が生活しており、代表的な中華料理でも、日本人から見た分類の仕方の北京料理・広東料理・四川料理・上海料理とあり、中国本土ではもっと多彩な分類や調理法が山ほどあります。

それだからこそ、中国料理の調味料はもの凄く沢山の種類があって、時には何に使うのか、どんな味がするのかさえ分からない代物もあります。

その中で、今回の『花椒』は、麻婆豆腐やその他の四川(風)料理を通じて、すっかり有名にもなり、又、山椒好きの日本人の体質にも合ったのかすっかりポピュラーな調味料となりつつある感もあります。

しかし、だからといって十分に使いこなせているかというと、そうでもありません。

ぜひとも、「そう言えば一時期流行ったよね、あの調味料。」というラインナップに入らないようにこの美味しい調味料を使いこなしていきたいものですね。ぜひ皆様の飲食店でもオリジナルの『花椒』味のお料理を開発・ヒットさせてください!

ー櫻子